なぜ朝のコンビニに、孤独な50代男性が集まるのか?

日常と仕事

朝6時のコンビニ。

レジに並んでいるのは、

たいてい、

50代男性 だ。

スーツではなく、ジャージ姿。

無精髭、寝癖。

レジで会計するのは、

缶コーヒー1本と、サンドイッチ。

合計800円くらい。

これが、朝のコンビニの、定番の光景だ。


私自身も、

この光景の、当事者の一人だ。

別居して2年、

平日の朝、家で朝食を作ることが、

ほぼ、なくなった。

最初は、

「コンビニで済ませた方が早い」

と、自分に言い聞かせていた。

ところが、

通うようになって、半年経った頃、

ふと、気づいた。

**自分は、コンビニに、

朝食を買いに行っているのではなく、

「人と接触する3秒」を買いに行っている** のだ、と。


朝のコンビニで、

私が、

レジの店員さんと交わす言葉は、

「お会計、800円です」

「ポイントカードはお持ちですか?」

「ありがとうございました」

合計、3秒くらいだ。

でも、

**この3秒が、私の一日の中で、

最初の「人との接触」** だった。


ある朝、

レジの女性店員さんが、

サンドイッチを温めるかどうか、

私に聞いてきた。

「これ、温めますか?」

「ああ、お願いします」

「少々お待ちください」

たった、それだけのやりとり。

ところが、

電子レンジが回っている20秒の間、

私と店員さんは、

**カウンター越しに、軽く目を合わせて、

軽く微笑んだ** 。

その20秒の沈黙の質が、

なぜか、

その日一日、私の中に、残った。


50代男性で、

私と同じように、

朝のコンビニに通っている人を、

私は、街でよく見かける。

正直に書くと、

「ああ、彼も、たぶん、同じ理由で来ているな」 と、

無言で、感じることが、ある。

別居中、独居中、

家族とは住んでいるけど、朝は会わない、

そういう50代男性が、

街には、たぶん、

想像よりずっと、多くいる


なぜ、朝のコンビニに、彼らは集まるのか。

3つの理由が、たぶん、ある。

ひとつ目は、「人との接触の最低単位」が、ここにある。

家庭に、朝の会話がない。

職場に着くまでの、満員電車も、無言。

その間に、

「他人と、一言以上、言葉を交わす場所」 が、

50代男性には、ほぼ、ない。

朝のコンビニのレジは、

**世界で唯一、彼らに、

「お会計800円です」を言ってくれる場所** だ。

ありがたいことに、

定期券のように、毎朝、確実に、それがある。

ふたつ目は、「他人の存在そのもの」を確認できる。

レジに並ぶと、

前の人の動き、

店員さんの動き、

棚を直しているスタッフの動き、

それらが、

自分の周りに、確かに、人間がいる ことを、

体に伝えてくれる。

50代男性の朝は、

たいてい、

「自分一人しか、いない」 から始まる。

その状態から、

いきなり、職場のラッシュに飛び込むのは、

体に、しんどい。

コンビニの3分が、

「自分以外の人間が、ちゃんと存在している世界」 への、

リハビリになっている。

みっつ目は、「予測可能な優しさ」がある。

これが、いちばん大事だ。

50代男性は、

長年の人間関係の中で、

「予測不能な優しさ」に、もう疲れている

家族の機嫌は、毎日変わる。

職場の同僚も、毎日違う。

ところが、

コンビニの店員さんは、

毎朝、

**「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」を、

予測通りに、提供してくれる** 。

これは、感情労働の最高峰だ。

そして、

**疲れた50代男性に、いちばん効くのは、

予測可能な、フラットな優しさ** だ。


ここで、AI時代の話につなげたい。

AIは、

「予測可能な優しさ」を、

これから、無限に、生成できるようになる。

ChatGPTが、毎朝「お疲れ様です」を返してくれる。

これは、すごいことだ。

ただし、

AIには、「目を合わせて、軽く微笑む20秒」が、ない

電子レンジが回っている間に、

カウンター越しに、軽く頷きあう、

あの20秒。

これは、たぶん、

AIには、

50年経っても、再現できない。


つまり、

朝のコンビニのレジ係は、

実は、

AI時代に、もっとも価値が上がる職業 かもしれない。


経営者のあなたへ。

朝のコンビニのレジに、

50代男性が、毎朝、

なぜ並ぶのか。

その答えは、

御社の、朝の「お疲れ様です」のレベル に、

たぶん、ヒントがあります。

社員が、出社して、

最初の3秒で、誰と、どんな目線を交わしているか。

その3秒が、

組織の朝の質を、

たぶん、決めています。


50代男性のあなたへ。

朝のコンビニで、

軽く目を合わせる店員さんに、

今日は、

「ありがとうございました」を、

いつもより、ちょっと、丁寧に、

言ってみてください。


3秒の優しさを、

3秒の優しさで、

お返しできる人間関係 を、

50代男性は、

たぶん、

街のどこかに、ひとつでいいから、持っているべきです。


それが、

孤独な朝を、

少しだけ、軽くしてくれます。


朝6時のコンビニで、

サンドイッチを、

電子レンジが温めている20秒の間、

私たちは、

たぶん、世界で、

いちばん人間らしい時間を、過ごしています。

タイトルとURLをコピーしました