noteで書いた「なぜ男はキャバクラに通うのか?」を、
もう一度、
人事責任者の視点 から、書き直したい。
10年通って気づいたのは、
キャバ嬢の3秒の所作に、
AI時代のヒントがあった、ということだ。
正直に書く。
私は、月2回ペースで、10年、キャバクラに通った。
特徴が、ひとつある。
いつも、違う店に行った 。
同じ店に通って、馴染みの女性を作る、というやり方を、
私は、一度もしなかった。
note記事に書いたとき、読者から、
「中村さんは、なぜ違う店ばかり行くんですか?」
という質問が、いくつか来た。
正直、自分でも、
なぜそうしていたのか、
長らく、わからなかった。
50歳になって、
ようやく、答えに辿り着いた気がする。
私は、たぶん、
「黙って聞いてくれる場所」を、月2回、買いに行っていた のだ。
家庭では、
弱音を吐けない。
職場では、もっと吐けない。
居酒屋の同期に話すと、
「お前もそうかー、わかるわかる」で、軽く流される。
その「軽く流される感覚」が、
50代男性には、
地味に、しんどい 。
キャバクラの女性は、違った。
私の話に対して、彼女たちは、
軽く流さなかった。
3秒、
ちゃんと、目を見て聞いた。
そして、
「それで、どうなったんですか?」と、
次の質問を、出してくれた。
私が同じ店に通わなかった理由は、
たぶん、ここにある。
**「次の質問が来る」場所が、
毎回、リフレッシュされた状態であってほしかった** 。
馴染みになると、
「中村さん、また同じ話?」になる。
それが、私には、耐えられなかった。
10年通って、私は、
キャバ嬢が、
実は、すごい観察をしていることに気づいた。
具体的には、3つだ。
ひとつ目は、相手の表情の変化を、3秒単位で追っている。
私が、ふと黙った瞬間、
彼女たちは、すぐに察知する。
「いまの話、ちょっと違う方向に行きましたか?」
そう、踏み込んでくる。
これは、
人事責任者の1on1の達人と、まったく同じ動き だ。
部下の表情の変化を、3秒で察知する。
「いま、引っかかった?」と、
すぐに踏み込める上司は、
組織で、たぶん、最強だ。
ふたつ目は、グラスの減り方を見ている。
私のグラスのお酒の減るスピード。
それを、彼女たちは、本能的に観察している。
減りが早ければ、
「今日、何か嫌なことありました?」と聞いてくる。
減りが遅ければ、
「リラックスしてますね」と、優しく踏み込まない。
これは、
部下の出社時間の変化を、毎朝1秒見ている管理職と、同じ目線 だ。
「あれ、彼、今日、来るのが遅かったな」
「あれ、彼女、最近、お弁当が変わった」
そういう小さな観察ができる管理職の下では、
人は、たぶん、辞めない。
みっつ目は、沈黙の長さを、計算している。
私が黙った時、
彼女たちは、
すぐに、新しい話題を振らなかった。
3秒、4秒、
私が次に何を言うか、
ちゃんと、待ってくれた。
これが、
1on1の最大の技術 だ。
部下が言葉に詰まった時、
「で、どうなの?」と急かす上司の下では、
部下は、本音を、絶対に出さない。
3秒、4秒、
黙って待つ。
その沈黙に、
部下の本音が、勝手に出てくる。
キャバクラに10年通って、
私が学んだのは、
実は、
「感情労働の最高峰の技術」 だった。
そしてAI時代になって、
この技術の価値が、
逆に、上がっている。
なぜか。
AIは、
3秒で答えを返してくる。
待たない。
だから、AIに慣れた現代人は、
「待たれること」自体が、ぜいたく になりつつある。
部下が、上司に話したい時、
ChatGPTでは、得られないものが、ひとつだけある。
それは、
「人間が、自分の話を、3秒、黙って聞いてくれる時間」 だ。
キャバクラで、私が買っていたのは、
お酒でも、女性の笑顔でも、なかった。
「3秒、黙って聞いてくれる時間」 だった。
50歳になって、
私は、月2回のキャバクラ通いを、
ほぼ、やめた。
代わりに、
このブログを書き始めた。
そして、
部下との1on1で、
3秒、黙って待つ ことを、意識するようになった。
キャバクラに通う男性を、
軽蔑する人もいる。
「家族に申し訳ない」と言う人もいる。
私は、思う。
月2回、3秒の沈黙を買いに行く50代男性は、
たぶん、心のセーフティネットを必要としている だけだ。
それを、家庭でも、職場でも、
得られない時代になっているなら、
それは、本人だけの責任ではない。
AI時代に、
50代男性が「居場所」を再構築するには、
3秒の沈黙を、自分で作れる場所を、
ひとつ、確保することだ。
それは、キャバクラでも、
ブログでも、
ChatGPTでも、
土曜の朝の散歩でも、
なんでもいい。
ただ、
「3秒、黙って聞いてくれる場所」 を、
50代男性のあなたが、
ひとつでも持っているなら、
たぶん、人生後半は、まだ、なんとかなります。
10年通った私からの、
最後の報告です。

